A.C.A.B.
試合前日、ベルリンからアムステルダムへの移動の列車の中でwhatsappにメッセージが届く。
「hey, do you know that tomorrow’s match from Germany can’t accept to reach the stadium?」
フェイエノールトオフィシャルからのものだった。
チケット販売からの流れにずっと違和感を感じていた。
フェイエノールトから用意されたアウェーセクターはわずか2,400枚しかなく、通常であればスタジアム収容人数の10%程度が用意されるはずだがこの試合に限ってはたったの5%。そのうち半数はウニオンベルリンのファンクラブチームに譲渡され、メンバー販売は残りの1,000枚程度。そんなもの手に入るわけもなくホームセクターのチケット(アウェー寄り)を購入するほかなかった。
その際には個人情報登録が必要なのだがドイツを選択することもでき、チケットを郵送してもらうことも可能。オランダとドイツの距離を考えても1週間あれば郵送で届くだろうと思い郵送にて購入。しかしそのチケットが届いたのは11月3日、試合から2週間も過ぎた平凡な日であった。
そのためチケットがないものの列車は予約済みのためとにかくアムステルダムに向かう、冒頭のメッセージはそんな列車の中でのことであった。
とにかく返信をする。内容としては
1.チケット購入時にドイツを選択できたこと。
2.UEFAの現在の規約に対戦相手国、第三国からの訪問者の入場禁止ルールは記載されていないこと。
3.ウニオンベルリンのファンではないこと。
以上を送信。
すると、返信はこうだ。
1.これに関しては無視。
2.とにかくフェイエノールトはドイツからの訪問者のホームセクター入場を許していない。
3.住所がウニオンベルリンのスタジアムの近くのため禁止する。あなたのチケットは警備セクションにより禁止される。
この3点のみでとにかくドイツからの入場は許さないとしか返信はなかった。
そんなことを言われても困るのでとにかく当日はロッテルダム、デカイプへ向かうことに。
一緒に乗り合わせた同じホームセクターを買ったウニオンファンと話していると明日はスカーフ一枚ウニオンとわかるもの、ドイツ語を話してはいけないと注意された。
なぜ?とも思ったがアウェーなのでブンデスリーガと同じかと理解。
その夜、ロッテルダムでウニオンベルリンのスタッフ一同がフェイエノールトのフーリガンに襲われるというニュースを目にするまでは特に気にも留めていなかった。
当日、チケットピックアップポイントに行くと恐らくその担当者らしき人物がいたため一度避難。
その後、バイトに人員変更がされたためEUの居住IDカードではなく日本のパスポートを本人確認書類として提出、これにて難なく受け取ることが出来た。
ここでの意地悪の理由はのちに判明するのだが、、
入場口ではワクチンアプリ(EU内共通)にて接種済を証明する必要があるのだが、ここでも問題発生。
そのアプリの登録国がドイツであることを理由に入場を拒否される。そのためスタジアムから3kmほど離れたテストセンターにて簡易テストを受け、その結果を持って再度入場。
場内にてビールとポテトの購入を試みるも、スタジアムの別通貨が必要。これを購入しようとしたところオランダ国外(言葉としてはドイツのと言っていたが)のカードは使用できない、つまり何も買えないというまさかの事態が発生。たまたま後ろの列にいたベルリンからの”訪問者”2人に聞いたところ、彼らも何も買えなかったとのこと。
こそこそ声のドイツ語で愚痴を言い合った。
気分転換にコンコースに出ると快晴の空、スタジアムから見える外の景色に20メートルほどの檻が見えた。一目でわかる、これはアウェーファンの入場用の檻だ。
2,400人を通すほどの大きさには見えず、チケットゲートは2つのみ。そこにはバスが3台停車したまま動く気配はない。時刻は試合開始1時間半前、この時点で彼らはドイツからの訪問者をまともに入場させる気は一切なかったのだと悟る。
結果から言うと試合開始時にアウェーセクターに入場できたのは500人程度の”許されたファン”のみ。いわゆるウルトラグループが入場できたのは前半40分の時点である。
その後も横断幕を設置したものの警察の介入により撤去されたりとまともに応援、観戦できることはなかった。
まともにフットボールを楽しむ気力もなくなった中、ウニオンベルリンは33,000人が敵意むき出しの中混沌とした雰囲気のスタジアムで力なく敗戦。
試合後、UBERにてロッテルダム中央駅に戻る車中、ヨーロッパらしからぬニューヨークのような高層ビルが立ち並んでいることに気づいた。運転手にこの街新しくて綺麗だねと何気なく尋ねると、この街はWW2の際にドイツ軍にすべてを破壊されたから…と。
この扱いを受ける理由が分かった気がした。
インターナショナルの試合で各国のファンが乱闘を起こす一つの原因としてこういった歴史、それもフットボールとは別の分野のものがいつまでもまとわりついているからだと。
試合終了2時間後、アムステルダムに向かうバスの中でメッセージをチェックすると、アウェーセクターにて観戦していた友人からまだスタジアムから出してもらえないとメッセージが届いていた。
それでもフットボールは美しいと思う。
フェイエノールト/Feyenoord Rotterdam
1.FCウニオンベルリン/1.FC Union Berlin
その他/others
youtube
オンラインショップ
2021年10月16日/16.10.2021
スタジアム/stadium
シュタディオンアンデアアルテフォレスタライ/Stadion an der alten Föresterei
観客数/attendance
11,006人/11,006
試合結果/result
1.FCウニオンベルリン/1.FC Union Berlin 2-0 VfLヴォルフスブルク/VfL Woldfsburg
チケット/ticket
16ユーロ(2000円)/16€