2015年3月11日FCバイエルンミュンヘン - FCシャフタールドネツク

『この試合はひどいから行くだけお金の無駄だ、スタジアムに行ってチケットを転売した方がいい』
取材を進めるうちに出会ったあるドイツ人のファンがこう言ってきた。
チャンピオンズリーグ、バイエルン、アリアンツアレーナ…。
おそらくフットボールファンなら誰しもが憧れるこの場所。
この試合を訪れるまではチャンピオンズリーグやバイエルンに対して一種の憧れや興味があった。
しかし、その憧れや興味も前半の早い段階で冷めていった。
バイエルンを批判するつもりはない。バイエルンは世界最高のフットボールクラブの一つであり、フットボールのクオリティも世界最高水準だ。スタジアムは常に満員、クラブカラーの赤に染まるスタジアムは一種の芸術だ。
しかし、何かが違う。
大多数のファンがスマートフォンやカメラを片手に選手を追いかけている。ゴールが決まった時の歓声も満員のスタジアムとは思えないほどの静けさ。
世界最高のフットボールクラブであるバイエルンに唯一足りないのは、いわゆる『熱狂的なファン』
『バイエルンは最高のクラブ。近年、世界中から注目を浴びるにつれて、ミーハーなファンが増えた。ミーハーばかりでスタジアムの雰囲気は昔と変わってしまった』
『アウェーでのバイエルンファンのサポートは素晴らしいんだけど、ここで同じものを求めるのは難しいよ』
ある熱狂的なバイエルンファンがそう嘆いた。
試合は前半10分でシャフタールが退場者を出し、ミュラーが決めて決着がついた。
実力差があることは明白ではあったが、どういうスコアでバイエルンが勝つかを楽しむスタジアムにどうしても馴染むことができなかった・・
そんなスタジアムを前半終了と同時に去ってきた。